タイヤの空気圧は、ゴムを通して空気がわずかに抜けるうえバルブやホイールとの間からも微量ながら空気の漏れが起きるため、パンクしていなくても少しずつ減っていきます。
冬は気温が下がるぶん空気圧が下がりやすくなる一方、夏はタイヤが熱を持ちやすいため空気圧が低いままだとたわんで発熱しやすく、偏摩耗や燃費の悪化につながります。
タイヤの空気圧チェックは自分で作業しても5分とかからないので、季節に関係なく月に1回は点検しましょう。
タイヤ空気圧は車種ごとに既定値が定められている
適正なタイヤの空気圧は、装着されているタイヤのメーカーではなく、自動車メーカーがその車の重量と足回りの作りに合わせ、車種ごとに細かく決められています。
車体の前側にはエンジンが搭載されており停車してても負担が大きい車が多いため、前後で空気圧の指定が異なることも。
車種によっては、乗員数や荷物を積んだ状態を想定して空気圧を決めているので、同じ車でも空気圧の既定値が2つあります。
適正な空気圧は運転席ドアのシールで確認する
空気圧の既定値は、国産車なら多くの車は運転席ドアを開けた開口部(Bピラー)のシールに「前○kPa/後○kPa」と書かれています。
輸入車だと、運転席側のドアの開口部ではなく給油口のフタの裏側に貼ってある車種もあります。
修理や塗装などでシールがなくなっている場合は、車の取扱説明書に書かれている空気圧を参考にしてください。
空気圧の表記で「kPa」と一緒に書かれている「kg/cm2」は以前使用されていた単位であり、ガソリンスタンドのエアチェッカーは「kPa」を使用しているので、気にしなくても問題ありません。
乗車定員や荷物の重さで変わる空気圧
空気圧の表記には、通常時の数値である「一般」とは別に乗員や荷物が多いときの空気圧を併記している車種があります。
ミニバンなど3人以上で乗ることや荷物を積む機会の多い車種では「標準:240kPa」「フル積載:280kPa」といったように、使い道によって空気圧が指定されています。
乗車人数や荷物が増えることで車の重量が増すと、タイヤがつぶれる量が増えて同じ空気圧でも接地面が広がることに。
空気圧不足と同じ状態になってしまい、偏摩耗やハンドルの重さにつながります。
ただし、少人数の増減で毎回調整するのは現実的ではないので、フル乗車に近い状態や荷物が重い状態で長距離を移動するような場面でなければ問題は出にくいです。
タイヤ側面に書いてある「max press」を基準にしない
タイヤの側面に小さく刻印された「MAX PRESS」は、そのタイヤが安全に耐えられる空気圧の上限を示す数値です。
あくまでも設計上の破裂しない限界値であり、装着している車の使用に適した空気圧ではありません。
たとえば、本来は230kPaが適正な車に対しタイヤに記載された「MAX PRESS」である350kPaを入れてしまうと、タイヤがパンパンに膨れてしまい乗り心地の悪化や設置面積の減少で滑りやすくなります。
空気圧の知識がない人は「タイヤに入れる空気の話だから車体ではなくタイヤ本体に書かれた数字が正解」と勘違いしやすいこともあるので、最近では「MAX PRESS」を表記しないタイヤも増えています。
タイヤの空気圧が適正でないとどうなる?安全性と経済性に影響
タイヤの空気圧が既定値から外れると接地面積が変わってしまい、偏摩耗を起こすことでブレーキ性能の低下や燃費の悪化などにつながります。
空気圧が既定値より低いと、タイヤがたわみやすく路面との摩擦抵抗が増えるため、発熱や肩減り、ハンドルが重く感じることがあります。
- ハンドルが重くなる
- 曲がるときの反応が遅れる
- 発進、加速で鈍く感じる
- 燃費が悪くなる
- タイヤの両肩が先に減る
- 高速走行時にでフワつく
反対に、タイヤの空気を入れすぎていると接地面が膨らみ、小さな段差で跳ねやすく中央の溝だけ減りやすくなります。
- 乗り心地が硬くなる
- 路面の継ぎ目でタイヤが跳ねる
- タイヤの真ん中だけが先に減る
- 雨の日に接地感を感じにくい
体感で分かりやすいハンドルの重さや車体のふらつき
空気圧が低いとタイヤがつぶれて接地面が広がって路面との摩擦が増るため、曲がるときにハンドル操作が重く感じることがあります。
タイヤのたわみが増えることでハンドル操作に対する反応が遅れやすく、速度が上がるほど直進安定性が落ちて車線変更のときにワンテンポ遅れて車体が揺れるような挙動が発生します。
たわんだ状態で走るとタイヤ内部の変形が大きくなり発熱しやすくなり、ゴムが焦げたような臭いがすることも。
逆に空気圧が高すぎるとタイヤが硬くなりクッション性が失われるため、路面の継ぎ目や段差の衝撃を吸収しきれずに跳ねるような症状が出ます。
転がり抵抗が増えて燃費が落ちる
空気圧が低いとタイヤが走行中に変形しやすくなり、路面に触れている部分が広がることで転がり抵抗が増えて発進や加速が鈍く感じることがあります。
エンジンの力がタイヤのたわんで戻る動きに取られるため、同じ速度でもアクセル開度が大きくなって燃費の悪化につながります。
一般社団法人省エネルギーセンターよると、タイヤの空気圧が既定値より50kPa不足した場合、燃費は市街地で2.5%、高速道路で4.8%悪化することが実証されています。
またJAFの実験データでは、タイヤの空気圧が適正値より30%減ると燃費は4.6%悪化しました。
1Lあたり20km走る車が指定空気圧から30%低下した状態で走行すると、1Lあたり約19.08kmしか走れない計算です。
ガソリン価格を1L=150円とすると1kmあたり約0.36円、20km走行すると約7.2円を損したことになります。
空気圧を適正値にすることは、安いガソリンスタンドを見つけるよりも効果のある節約術といえるでしょう。
タイヤに偏摩耗が起きて交換が早まる
空気圧が適正値から外れた状態で走り続けるとタイヤの路面への接地のしかたがかたよってしまい、特定の部分だけが急速に削れる「偏摩耗」を起こします。
空気が少ないとタイヤがたわんで接地面の中央が凹んだ形になりやすく、車の重さがタイヤの両端にかかって先に減りやすくなります。
空気が多いとタイヤが膨らんで接地面の中央が張り出して摩耗が進むでしょう。
タイヤの交換時期はもっとも溝が減っている場所を基準にするため、症状がひどくなると表面の8割は山が残っているのに残りの2割が偏摩耗を起こしてタイヤが使えなくなることも。
タイヤの内側は偏摩耗していても気付きにくいので、空気圧をチェックするときに手を差し込んで内側の溝を触って確認してください。
高速道路や荷物を積んで走ると影響は大きくなる
高速道路や荷物を多く積んで走行する時のタイヤは、かかる力が一気に増えて普段より変形している状態です。
空気圧が低いとタイヤのたわみが大きくなり、表面が波打つように変形するスタンディングウェーブ現象を起こして最悪の場合バーストすることも。
高速道路を、フル乗車でキャンプ用品を満載して走行中にバーストしたら、横転などの事故につながることも考えられます。
逆に空気圧が高すぎるとタイヤで衝撃を受けきれなくなり、段差や路面の継ぎ目のショックがそのまま車体に伝わります。
空気圧によってタイヤが丸く膨らんでしまうと接地面積が減少し制動距離が伸びてしまい、特に高速走行は危険な状態です。
タイヤの空気圧を適正にする調整テクニック
タイヤ空気圧の本来の適正値とは、メーカーによって各車両に設定された指定値ではなく、走行中の変形や自然に減っていくことも含めて決めるのが現実的です。
タイヤが冷えている状態で指定値に合わせるだけでは、時間とともに必ず空気圧不足になりタイヤの偏摩耗や燃費の悪化につながります。
タイヤの空気圧を適正に保つ方法は以下のとおり。
- 指定値より10〜20kPa多く入れる
- 月1回は空気圧をチェックする
- いつも同じ条件で空気を入れる
- 窒素ガスは必須ではない
空気は自然に減ることを見越して10〜20kPa多く入れる
タイヤの空気は1か月で約5kPa減るとされているので、自然に抜ける分を見越して指定値プラス10~20kPa多く入れておくのがおすすめです。
引用元:一般社団法人日本自動車タイヤ協会
タイヤのゴムは完全に密閉できる素材ではなく気体透過性があるため、風船のように時間が経つにつれて少しずつしぼんでいきます。
例えばメーカーの指定値が230kPaの車で5%減ったとすると1か月で約11.5kPaも空気が抜けることに。
空気圧をピッタリ230kPaに合わせても翌月には約218kPaまで下がり、メーカー指定値を下回ってしまいます。
多く入れすぎることも偏摩耗やクッション性の悪化につながるため、タイヤメーカーでは空気圧について以下のように推奨しています。
自然漏れを考慮し、空気圧の管理は「車両指定空気圧」を基準に、0〜+20kPaの範囲内での調整・管理することをおすすめします。
引用元:ブリヂストン
空気圧の点検は給油ついでに月1回は実施しよう
タイヤの空気圧点検は、給油のタイミングとセットにして月1回おこなうと性能悪化につながるような空気圧の低下を防ぐことができます。
5分もあれば終わる作業なだけに後回しになりがちですが、パンクや偏摩耗などタイヤの異常も発見できるという利点も。
ガソリンスタンドに置いてある空気を入れる機械は、据え置き型と携帯タンク型の2通りあります。
車にあまり詳しくない人は、タイヤの空気圧チェックを難しいと思われているようですが店員に聞けば操作方法を教えてくれます。
空気圧を自分で調整するのは無料ですが、作業を依頼すると1本あたり50円程度かかる場合があります。
給油時にチェックするのを忘れていたら、カー用品店や整備工場でオイル交換する際にでも一緒に空気圧を見てもらいましょう。
空気圧はタイヤが冷えている状態で測る
空気圧はタイヤが冷えている状態で測って合わせるのが基準です。
冷えるというのは気温のことではなく、走ったことによる摩擦熱を持っていない状態を指しています。
走行直後は空気が温まって膨張し数値が高めに出るため、その数値を基準に空気圧を調整すると冷えたあとに指定値を下回ります。
真夏であっても、走り出す前であればタイヤは冷えていると判断して問題ありません。
遠出をした先や高速道路の走行直後に調整するのは避け、ガソリンスタンドを利用する場合は自宅に近い店舗を選ぶと、正確な空気圧に調整しやすいです。
窒素ガスの充填は本当に必要?
窒素ガスの充填は必ずしも必要とは言い切れず、月1回の空気圧チェックをおこなっているなら、通常の空気で十分です。
酸素より抜けにくいのは事実ですが、窒素を入れたことで燃費が伸びたり乗り心地が変わったりする効果は、実際に運転してみても感じられないのがリアルな感想です。
窒素を入れることによる正確な効果とは、空気圧低下によるタイヤ性能の悪化を防ぐことです。
抜けにくい特性によって適正値を長く維持できるため、結果として本来の燃費や乗り心地が維持されるだけの話といえます。
また、1度窒素を使うと次に充填するときも窒素にしないと、普通の空気が混じってしまい効果が薄れることになります。
1回あたり4本で2,000〜3,000円の費用を支払うなら、月1回の点検で指定値に戻すほうが費用対効果は良いでしょう。
タイヤの空気圧についてよくある質問と答え
タイヤの空気圧はどうやって確認する?
ガソリンスタンドならセルフまたは店員に、カー用品店なら店員に頼むことで確認できます。
自宅で確認する場合は市販のエアゲージを使いますが、ゲージをバルブに押し込む際に「シュッ」と少しだけ空気が抜けるので、できれば空気入れがある場所での点検をおすすめします。
冬は空気圧が下がりやすい?
冬になり、気温が下がるにつれて空気の体積は小さくなるため、タイヤの空気圧も少なくなります。
外気温が30℃の時に2.2kで合わせた空気圧が、抜けた訳では無いのに外気温17℃で1.9kまで下がる
引用元:ヨコハマタイヤ シャルルの法則
気温が10℃下がるとタイヤの空気圧は約10〜15kPa下がるのを目安とし、季節の変わり目に調整してください。

